先日、(2/5)今年初めての視察会を開催させて頂きました。大勢のプロの料理人の方に、岐阜県魚苗センターの施設を隈なく見て頂きました。如何に魚苗センターのアユが、長良川の自然に近い環境で育っているのかを確認頂けたかと思います。
ふ化からは少し時間は経過していますが、ふ化直後の仔魚は体長約5〜6mm。透明に近い体で、卵黄を栄養源として静かに漂っています。目視(僕は目が悪いので・・)ではほとんど何も見えない状態です。
ふ化後10日から約3週間──体長15mmから20mmへ向かう期間を、私たちは“臨界期”と呼びます。消化器官が完成へ向かい、浮き袋が安定し、遊泳力が急速に向上する一方で、死亡率が最も高まるのもこの時期です。
同日ふ化でも成長差は顕著に現れます。順調な個体は25mm近くまで伸びる一方、摂餌が遅れた個体は15mm台で停滞する。10mmの差は、体重にすれば倍以上の開きになります。原因は明確です。

・初期餌料(ワムシ、配合微粒飼料)への反応差
・水流への適応能力
・消化酵素分泌の個体差
・密度ストレス
特に水流設計は重要です。流速が強すぎればエネルギーを消耗し、弱すぎれば餌の分散が起きない。センターでは1秒あたり数センチ単位で微調整を行います。この時期、アユはまだ“完成された魚”ではありません。外敵はいなくても、最大の敵は「発達の遅れ」です。
何度も申し上げていますが、岐阜県魚苗センターでは、その年に長良川で捕獲した天然親魚のみを掛け合わせたF1種のみを扱っています。世代固定を行わないため、個体差は自然由来のもの。均一化を追求するのではなく、多様性を抱えたまま歩留まりを高めるのが私たちの技術です。
15mmを越え、20mmに達したとき、泳ぎは明らかに変わります。群れの形が整い、摂餌が安定し、骨格が強くなる。その瞬間、仔魚は「稚魚」へと移行します。
僕が考える、岐阜県魚苗センターの技術とは、自然を支配することでは決してありません。
自然つまり、四季を通じた長良川のリズムを読み取り、崩さずに橋を架けることです。仔魚から稚魚へ──その橋を、私たちは毎年、静かに渡しています。
ちょっと格好良く言いすぎでしょうか(笑)

