北斎と鵜飼

葛飾北斎と言えば、日本を代表する浮世絵師であると同時に、ゴッホやドガに影響力を与えたジャパンモダニズムの立役者として知られています。浮世絵師としては富士山を題材にした風景画シリーズ『冨嶽三十六景』や、弟子たちへの教本として知られる『北斎漫画』などの版画が代表作として挙げられます。また、江戸時代では稀有ともいえる90歳という長寿を全うしたことでもよく知られています。

今日は、北斎の描いた鵜飼の絵についてご紹介したいと思います。このホームページにも記載していますが、鵜飼は1300年続く我が国の伝統漁法です。特に江戸時代に入ると御三家の一つ、尾張徳川家が保護政策に着手し、現代の鵜飼の原型が整い、とりわけ長良川の鵜飼いは御料場(皇室の漁場)に発展しました。

北斎もそんな伝統漁法に興味を示し、その鵜飼を「絵本庭訓往生」に収められています。この書は江戸後期に全国に広く出回ったことで、さらに長良川の鵜飼いに人気が集まったと考えられます。